従業員50人未満のストレスチェック義務化
2026年4月より、労働安全衛生法により改正されました「従業員50人未満のストレスチェック義務化」について、ご説明させて頂きます。
1.改正の背景:なぜ今、義務化なのか?
現在、従業員50人以上の事業場ではストレスチェックが義務化されていますが、実は精神障害による労災認定件数は、50人未満の小規模事業場でも高い水準にあります。
•労働環境の変化: 働き方の多様化や人手不足による負担増。
•メンタルヘルス対策の格差解消: 規模に関わらず、全ての労働者がメンタル不調の予防措置を受けられるようにするため。
2.義務化による具体的な変更点
これまでとの違いを比較表にまとめました。
| 項目 | 従来の制度(50人未満) | 新制度(義務化後) |
| 実施義務 | 努力義務(推奨) | 義務(法的強制力あり) |
| 実施頻度 | 任意(実施する場合も規定なし) | 1年以内に1回 |
| 医師の面接指導 | 希望者への実施が望ましい | 高ストレス者への実施が義務 |
3.小規模事業場(労働者数50人未満)におけるストレスチェックの義務化の時期と対象者
①義務化の時期
令和7年(2025年)5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務とされていた小規模事業場においても、事業場規模にかかわらずストレスチェックの実施が義務化されました。
具体的な施行日(実際に義務化される日)は、「公布の日から政令で定める3年以内の日」とされています。
最も遅い日で、 2028年(令和10年)5月13日
②対象者
対象となるのは、契約の名称(パートやアルバイト等)や国籍に関わりなく、一般定期健康診断の対象者と同じく「常時使用する労働者」です。具体的には、以下の2つの要件をどちらも満たす者が対象となります。
•契約期間の要件 期間の定めのない労働契約により使用される者であること。 (※期間の定めのある労働契約でも、契約期間が1年以上である者、契約更新により1年以上使用されることが予定されている者、すでに1年以上引き続き使用されている者を含みます。)
•労働時間の要件 1週間の労働時間数が、その事業場で同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上であること。
※対象者に関するその他の留意点
1週間の労働時間数が通常の労働者の4分の3未満であっても、契約期間の要件を満たし、労働時間が通常の労働者のおおむね2分の1以上である者に対しては、ストレスチェックを実施することが望ましいとされています。
派遣労働者に対するストレスチェックは、派遣先ではなく派遣元(派遣会社)に実施義務があります。
4.事業主が対応すべき4つのステップ
義務化に伴い、小規模事業場の経営者や担当者は以下の準備が必要になります。
①実施体制の整備
•実施者(医師、保健師、公認心理師など)の確保。
•外部のストレスチェック提供サービス(Web診断など)の検討。
②ストレスチェックの実施
•全従業員(パート・アルバイトも一定条件で含む)に対して調査票を配布・回収。
③高ストレス者への対応
•本人から申し出があった場合、医師による面接指導をセッティングする。
④職場環境の改善
•集団分析(部署ごとの傾向把握)を行い、ストレスの原因を取り除く。
5.小規模事業場への支援策
「コストや専門家探しが大変だ」という企業のために、国はいくつかの支援を用意しています。
•産業保健総合支援センター(さんぽセンター): 地域ごとに設置されており、無料で導入相談や情報の提供を行っています。
※厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」から抜粋
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001646587.pdf
まとめ
小規模事業場ストレスチェック制度の実施義務が施行されますと、年に一度の定期健康診断の実施義務と同様に、労働基準監督署の調査の際には実施状況を確認され、実施していない場合は、労働安全衛生法違反となってしまいます。このような事が無いように予め準備しておくことが重要と考えます。
なお、施行後、50人未満の事業場について、労働基準監督署へのストレスチェックの実施報告義務までは定められていないようです。