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NEW月給者の平均所定労働日数と平均所定労働時間とは

最近、労働基準監督署の調査における確認やお客様からのご質問において、月給者における残業手当の計算で使用する平均所定労働時間、また欠勤控除の計算に使用する平均所定労働日数について、正しい日数及び正しい時間は、どのように計算するのか?というケースがよくあります。
今回は、「月給者の平均所定労働日数と平均所定労働時間」の計算方法について、取り上げさせていただきます。

月給の考え方ですが、その月給による給与は、1年間を平均した所定労働日数及び所定労働時間に対しての給与金額と考えます。よって、毎月の所定労働日数が、19日から22日などその月によって変動しても、月給の給与金額は変動しません。
最低賃金の確認で時給を算出する場合も、1年間の平均所定労働時間を用いて計算します。
以下、計算方法になります。

1.月給者の平均所定労働日数の計算方法

先ず、1年間の所定労働日数が何日か、確認します。考え方としては、その会社において、年間の所定労働日数を毎年、決めていると思いますが、その起算日から1年間として、カウントします。
例えば、毎年4月1日を起算日として、翌年の3月31日までの1年間について、所定労働日数を決めていた場合、その決めた期間の給与計算について、「平均所定労働日数」を使用します。
ここで言う起算日とは、給与計算期間の起算日であるべきと考えます。そして、その翌年に所定労働日数に変更があれば、「平均所定労働日数」も変更するということになります。

具体的な計算方法※年間休日日数125日の場合
起算日から1年間の歴日数 - 所定休日日数 = 年間所定労働日数
365日 - 125日 = 240日
年間所定労働日数 ÷ 12カ月 = 平均所定労働日数
240日 ÷ 12カ月 = 20日
この場合、平均所定労働日数は、20日となりました。主に給与計算における欠勤控除計算や会社によっては日割計算に使用します。

例えば、欠勤控除計算については、以下のとおり。
※基本給30万円、諸手当なし、平均所定労働日数20日の場合
基本給 ÷ 平均所定労働日数 = 欠勤控除単価
30万円 ÷ 20日 = 15,000円

よって、欠勤控除単価は、15,000円となり、この金額に欠勤日数を乗じて、計算することとなります。欠勤日数5日の場合、以下のとおり。
欠勤控除単価15,000円 × 5日 = 欠勤控除額 75,000円
※注意 欠勤日数が所定労働日数の内、出勤日数より欠勤日数の方が多い場合は、控除しすぎになることもありますので、日割計算の場合との差額の確認を行う必要がありますので、注意が必要です。(平均所定労働日数の単価×日数分が支給されているかの確認)

2.月給者の平均所定労働時間の計算方法

平均所定労働時間の計算についてですが、こちらも先ずは、年間所定労働日数を上記1の方法で計算します。※1の例を引用

具体的な計算方法※年間休日日数125日の場合
起算日から1年間の歴日数 - 所定休日日数 = 年間所定労働日数
365日 - 125日 = 240日

この平均所定労働日数に1日の所定労働時間を乗じて、年間所定労働時間を算出します。
※1日の所定労働時間は8時間とした場合
年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間 = 年間所定労働時間
240日 × 8時間 = 1,920時間

算出した年間所定労働時間を12か月で除します。
年間所定労働時間 ÷ 12カ月 = 平均所定労働時間
1,920時間 ÷ 12カ月 = 160時間

この所定労働時間を何の計算に使用するのかですが、時給単価の確認(最低賃金の確認)や、残業手当の計算に使用します。
具体的な計算例です。
※基本給30万円、諸手当なし
基本給 ÷ 平均所定労働時間 = 時給単価
30万円 ÷ 160時間 = 1,875円
よって、時給単価は1,875円ということになります。
法定超の時間外労働となる残業手当計算、例えば残業時間が15時間の場合
基本給 ÷ 平均所定労働時間 × 1,25倍 = 残業単価
30万円 ÷ 160時間 × 1,25倍 = 2,343円75銭
残業単価 × 残業時間 = 残業手当
2,343円75銭 × 15時間 = 35,156円25銭 ≒ 35,156円
※今回は残業手当計算の最後に四捨五入としております。

以下は、参考までですが、残業手当計算の端数処理について、厚生労働省のQ&Aの引用です。

Q 残業手当の端数処理は、どのようにしたらよいですか。

A. 割増賃金計算の端数処理に当たって次の方法は、常に労働者の不利となるものでなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、労働基準法第24条および同法第37条違反としては取り扱わないとされています。
 具体的には、次のとおりです。

①1か月における時間外労働、休日労働および深夜業のおのおのの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
②1時間当たりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
③1か月における時間外労働、休日労働、深夜業のおのおのの割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、②と同様に処理すること。

まとめ

今回、月給者の平均所定労働日数と平均所定労働時間を取り上げさせていただきました。こちらについてですが、例えば本社と工場で、年間所定労働日数、年間所定労働時間が異なる場合には、当然ながら、本社と工場で、平均所定労働日数と平均所定労働時間が異なることとなりますので、注意が必要です。また、固定残業手当を設定する場合にも、その固定残業手当に対する残業時間が何時間相当分になるかという場合も年間所定労働時間を誤って計算している場合には、賃金の過払いもしくは未払いが発生している可能性があります。

毎月の給与計算で使用している平均所定労働日数と平均所定労働時間に誤りがある場合、状況によっては、遡って賃金支払いしなければならないこともございますので、適正な平均所定労働日数と平均所定労働時間による給与計算業務を行う必要がございます。

毎月の給与計算に不安がある経営者、人事担当者の方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡頂ければ幸いです。

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