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雇用契約と業務委託契約との違い

2023.03.24

雇用契約とは

使用者(会社)と労働者との労働契約に基づく契約を指しており、労働契約とは労働の対価に関する契約です。
そのため、会社は労働者に対して、労働条件通知の明示を初めとし、労働基準法に基づく法令順守が求められます。
労災保険の適用はもちろん、要件に該当すれば、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入も求められます。
使用者と労働者に関する問題が起こった場合には、労働基準監督署とはじめ、社会保険労務士が相談・アドバイスを行います。

業務委託契約とは

業務委託契約は労働の対価に関する契約ではなく、業務の委託(成果)に関する契約です。
民法に業務委託契約という法律はありませんが、「請負契約」(民法632条)または「委任契約」の要素が該当します。
業務委託契約では、会社間や個人事業主間の契約となるため、労働基準法諸法令は適用されません。
成果に対する報酬を受けるため、労働時間等の制約はありません。

雇用契約と業務委託契約との違い

上記に記載したことより、雇用契約と業務委託契約では、労働者か労働者ではないかという点が問題となります。
例えば、労働者であれば、業務中に起こった災害は、会社の災害補償義務が生じます。(労働者が労災保険給付による補償を受けることができたとき、使用者の災害補償責任は免除されます。(労働基準法第84条))
業務委託の場合、労働者ではないため災害補償義務は生じません。
契約を終了するにも労働者であれば、解雇予告もしくは解雇予告手当の支払い義務、雇止めのルールがありますが、業務委託契約には労働基準法・労働契約法のルールは適用されません。

雇用契約か業務委託契約かの判断基準

労働者性があるか、否かで判断されることになります。
労働制の有無は、「使用される=指揮管理下の労働」であるかです。
以下、昭和60年12月労働基準法研究会報告に基づく具体的な判断基準基準を挙げます。
判断は一つの項目によって判断されるものではなく、総合的な判断がされます。

①仕事の依頼、業務従事の指示等に関する諾否の自由の有無
 仕事の依頼、業務指示等に対して拒否する自由がない⇒労働者性が高い

②業務内容及び遂行方法に対し指揮命令の有無
 業務に対して事細かに指示命令がある⇒労働者性が高い

③拘束性の有無
 勤務場所・時間が指定されて管理されている⇒労働者性が高い

④代替性の有無
 代替性がない⇒労働者性が高い

⑤報酬に関する労務対償性
 欠勤控除や残業に関する手当が支給されている⇒労働者性が高い

⑥機械器具の負担関係
 業務に必要な高価な機械器具を委託元の会社側が提供する⇒労働者性が高い

⑦専属性の程度
 他所の業務に従事することが制約・事実上困難⇒労働者性が高い

⑧報酬の額
 同事業所の勤務する労働者と比較し、同等の報酬⇒労働者性が高い
 同事業所の勤務する労働者と比較し、著しく高価な報酬⇒労働者性が低い

まとめ

雇用契約か業務委託契約かは、名称や書面上の契約ですぐさま決定するものではなく、実態に基づく総合的な判断が必要です。
業務委託契約として契約を行っても、労働者性が強いと認められた場合には、過去労働時間により残業代の請求がされる可能性もあります。
将来的なトラブルとならないように実態を鑑みての契約・給与や報酬の支払いが出来るようしていきましょう。

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