出生後休業支援給付金とは
今回は、令和7年4月1日から雇用保険の改正により新たに創設されました「出生後休業支援給付金」について、取り上げさせていただきます。
概要
共働き・共育てを推進するため、子の出生直後の一定期間に、両親ともに(配偶者が就労していない場合などは本人が)、14日以上の育児休業を取得した場合に、出生時育児休業給付金または育児休業給付金と併せて 「出生後休業支援給付金」を最大28日間支給する制度です。
令和4年10月から育児介護法が改正され、いわゆるパパ育休が、「出生時育児休業」となりました。簡単にご説明いたしますと、この「出生時育児休業」は、子どもの出生から8週間以内に最大4週間(分割可能)まで取得できる制度です。そして、「出生時育児休業給付金」とは、
休業開始時賃金日額の67%を休業した期間の日数分を支給するものでして、令和7年4月1日から創設された、「出生後休業支援給付金」とは、「出生時育児休業給付金」の67%に、プラス13%支給するという制度になります。
よって、出生時育児休業期間は、休業開始時賃金日額の80%を給付されることにより、通常勤務している支給額から社会保険料、所得税が差引された手取り額相当額を支給することを目的としています。
なお、「出生時育児休業」を取得した父親だけではなく、母親が雇用保険被保険者である場合、出生日から16週間を経過する日の翌日までに、父親が受給した「出生後休業支援給付金」の日数(最大28日)を、父親と同様に、休業開始時賃金日額の13%の給付を受けることができます。
いくら貰えるのか
例えば、育児休業開始時の直近の6カ月間の賃金が、30万円/月だった場合、休業開始時賃金日額は以下のとおりとなります。
休業開始時賃金日額30万円×6ヵ月÷180日=10,000円
そして、出生時育児休業を14日取得してその間、賃金がしはらわれていない場合の受給金額は以下のとおり。
出生時育児休業給付金の支給額=10,000円×14日×67%=93,800円
出生後休業支援給付金の支給額=10,000円×14日×13%=18,200円
合計 112,000円を受給できることとなります。
なお、「出生時育児休業給付金」について、育児休業期間に一定以上の日数と労働時間を就労し、出生児育児休業給付金が不支給となった場合は、「出生後休業支援給付金」も不支給となりますので、ご注意ください。
支給申請手続きについては、出生後休業支援給付金の申請手続きと併せて、行うこととなります。
こちらについては、原則として、ご本人の申請ですが、ご本人の同意を得て事業主が手続きするのが一般的です。
以下、厚生労働省の『2025年4月から「出生後休業支援給付金 」を創設します』リーフレットの一部抜粋となります。
1. 支給要件
被保険者 (雇用保険の一般被保険者及び高年齢被保険者をいいます。 )が、次の①および②の要件を満たした場合に、 「出生後休業支援給付金 」を支給します。
①被保険者が 、対象期間※に 、同一の子について 、出生時育児休業給付金が支給される産後パパ育休または育児休業給付金が支給される育児休業を通算して14日以上取得したこと。
②被保険者の配偶者が、「子の出生日または出産予定日のうち早い日 」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算 して8週間を経過する日の翌日」までの期間に通算して14日以上の育児休業を取得したこと、または、子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を要件としない場合」(次の3)に該当していること。2. 支給額
支給額=休業開始時賃金日額※1×休業期間の日数(28日が上限)※2×13%
※1. 同一の子に係る最初の出生時育児休業または育児休業の開始前直近6か月間に支払われた賃金の総額を 180で除して得た額。
※2. 支給日数は、対象期間における出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業の取得日数であり、28日を上限とする。3. 配偶者の育児休業を要件としない場合
子の出生日の翌日において、次の1~7のいずれかに該当する場合は、配偶者の育児休業を必要としません。なお、被保険者が父親の場合は、子が養子でない限り、必ずいずれかの事由(主に4,5,6のいずれか)に該当することとなりますので、配偶者(母親)の育児休業取得の有無は要件になりません。
1. 配偶者がいない配偶者が行方不明の場合も含みます。ただし、配偶者が勤務先において3か月以上無断欠勤が続いている場合または災害により行方不明となっている場合に限ります。
2. 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
3. 被保険者が配偶者から暴力を受け別居中
4. 配偶者が無業者
5. 配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない
6. 配偶者が産後休業中
7. 1~6以外の理由で配偶者が育児休業をすることができない
配偶者が日々雇用される者など育児休業をすることができない場合や、育児休業をしても給付金が支給されない場合 (育児休業給付の受給資格がない場合など )が該当します。
4. 支給申請手続
- 出生後休業支援給付金の支給申請は、原則として、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給申請と併せて、同一の支給申請書を用いて行っていただくこととなります。
- 出生時育児休業給付金または育児休業給付金の申請後に、出生後休業支援給付金の支給申請を別途行うことも可能ですが、その場合は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給された後に申請してください。