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年次有給休暇のよくある実務相談

日頃のお客様からのご相談において、年次有給休暇(以下年休という)の実務的なお問い合わせが非常に多くなっております。今回は年休の実務的な内容を取り上げさせて頂きます。

年次有給休暇の目的とは

労働基準法の年休制度については、賃金を支払う休暇であり労働者の心身の疲労を回復させリフレッシュを図るとともに勤労意欲を維持アップさせ、ゆとりのある生活の実現に資することを目的としております。

年休付与の要件

入社6カ月経過と、全所定労働日の出勤率8割以上が付与の要件です。
出勤率8割未満の労働者には付与する必要はございません。
また週の所定労働日が5日未満かつ週の所定労度時間が30時間未満の場合は、比例付与することになります。

さて、日頃どのようなご質問が多いかというと、次の通りです。

1.パートタイマー、アルバイトの年休の取り扱い

年休を取得したら欠勤控除されない月給者とことなり、賃金形態が日給、時給の場合は、元々の所定労働日の1日分の時間分の賃金を支払う義務がございます。但し、通勤手当については、実費弁償として支払う旨が就業規則または給与規程に規定されている場合は支払う必要はございません。なお定期代の場合は控除しないことになります。

2.年休5日取得義務について

2019年の働き方改革の法改正から年休付与日、いわゆる基準日から1年間で5日を取得させることが義務付けられました。
各企業で色々な取り組みをしているかと思いますが、効果的な手法を以下記載します。

・計画年休
 計画年休とは、年次有給休暇の計画的付与制度のことをいい、労使協定を締結して年休を取得する日を特定して取得する。夏季や年末年始に合わせて取得される企業が多いかと考えます。但し、年次有給休暇の付与日数の内5日を除いた部分のみ計画付与の対象となりますので、注意が必要です。

・使用者の指定による年休取得
使用者から指定して、年休を取得してもらう。但し、労働者から年休を取得したい希望日を意見聴取し、出来る限り希望日の通りになるように努めなければならないとされております。

また退職を予定している労働者、もしくは育児休業から復帰した労働者についても、厚生労働省の見解として、基準日から1年にならなくとも退職までに5日取得させる義務があるとなっています。なお、退職申出日退職など物理的に取得が不可能な場合には、労働基準法違反とはなりません。

3.退職者の年休取得の取り扱い

日頃、この質問が1番多く寄せられておりまして、先ず労働基準法の考え方としては、

・労働者には時季指定権があります。いつ年休を取得するかといったところです。

・使用者には時季変更権があります。これは事業の正常な運営に支障をきたす場合に、労働者の指定された日を変更してもらう権利です。

例えば、労働者が1カ月後に退職します。「すべて所定労働日について年休を取得します。」となった場合、退職日の翌日以降には時季変更権が使用できないため、使用者はすべて年休として受け入れる義務があります。
但し、退職日までは、労働者であるため、所定休日に休日出勤命令は有効です。この場合、休日出勤した場合、賃金は、原則として固定の月給とは、別に支払う必要はあります。

4.休日と休暇の違い

最後に休日と休暇の違いについて記載させて頂きます。
休日とは、元々労働する義務がない日
一般的には、所定休日、公休などと呼ばれています。

一方、休暇とは、予め労働する義務がある日に労働を免除した日が休暇です。
休暇という言葉は、労働を免除している日であり、有給、無給は問いません。
労働基準法で、唯一の有給の休暇として規定されているのが年次有給休暇ということになります。よって、当然ながら、休日には年次有給休暇は取得できないことになります。

また年休を10日以上付与されているパートタイマーアルバイトについては、5日取得義務がございますので、特にシフト制の場合には予め、年休取得の予定をシフトに組み込み5日取得するのが効果的と考えます。

まとめ

昨今、企業を取り巻く環境は、慢性的な人手不足となっており、年次有給休暇の適正な運用が難しい企業も多いかと思います。
このような人手不足な環境だからこそ、労務管理意識が高く、コンプライアンスを遵守する企業に優秀な人材が集まるのではないかと考えます。
片野誠事務所では、皆様の働きやすい環境作りのサポートをさせて頂きますのでお気軽にご相談ください。

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