2024年最低賃金改定について
2024.09.12
2024年10月からの各都道府県の最低賃金の改定額が決定されましたので、今回は最低賃金について、取り上げさせていただきます。
最低賃金とは
最低賃金法により定められている法律でして、法の第1条(目的)には、「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と定められており、改定された最低賃金額を支払わない場合は、最低賃金法違反となり、罰則に50万円以内の罰金に処すると定められております。
最低賃金改定の影響
2024年の最低賃金は、平均で時給1,004円から時給1,055円と51円上昇しており、都道府県毎に適用されます。最低賃金は、時給により定められておりますが、月給者の場合は、毎月決まって支払われる基本給及びその他諸手当(以下基本給相当額という)に対して、年間平均所定労働時間を分母として除した金額が、時給単価となります。
この時給単価が最低賃金以上でなければ最低賃金法違反となります。
なお、諸手当については、最低賃金の対象から除外するものもございますので、注意が必要です。除外される賃金は、以下のとおりです。
・通勤手当
・家族手当
・精皆勤手当(遅刻早退、欠勤が無い場合にし原れる手当)
・みなし残業手当等のみなし手当(深夜手当、休日手当も含む)
・時間外労働、休日労働、深夜労働による手当
・臨時に支払われる手当
・1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
最低賃金改定時の注意点
最低賃金が改定された場合、都道府県毎の最低賃金改定の効力発生日以降の労働時間については、改定された最低賃金以上を支払わなければなりません。
よくある注意点として、時給制の給与の場合、とてもわかりやすく誤りは発生しづらいですが、月給制の場合は、時給単価を計算しないと確認出来ませんので、見落とすことが散見されます。
特に、基本給相当額を最低賃金程度の金額で、みなし残業手当の金額を高め設定している場合には、基本給相当額のみが、最低賃金の対象額になりますので、十分な注意が必要です。
このような場合は、基本給相当額と、みなし残業手当(残業時間の相当分も含めて)のバランスを調整する、または基本給相当額を昇給するなど、どのように対応するのかを、予め検討し、効力発生日以前に、改定することをお勧めいたします。
まとめ
一般的には4月を昇給月にしている企業が多いかと思いますが、最低賃金は毎年10月に改定されますので、法令遵守を考慮しますと予め昇給月を10月にするのも効果的と考えます。
しかしながら、昨今の最低賃金の上昇幅は著しく、2023年が全国平均で、43円、2024年が51円ということで、2年で94円の時給が上昇している状況です。
例えば、月の平均160時間の月給者の昇給額で表すと、2年間ではありますが、
94円×160時間=15,040円の昇給となります。(1年7,510円)
中小企業にとっては、人手不足の中での人件費の増加、さらに物価高によりコストもアップしている状況ですので、いかに付加価値を高めて売上単価を上げていくかが今後益々重要になってくると思われます。
最低賃金だけではなく、賃金制度等、お困りの経営者様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。